障がい福祉サービス事業の開業はなぜ難しい?現場から見えたリアルな課題とは

障がい福祉サービス事業の開業はなぜ難しい?現場から見えたリアルな課題とは

いろんな事業主様のお話を伺っていると、福祉業界特有の「不思議な現象」に気づくことがあります。
それは、開業までの道のりの「スムーズさ」と「難航度合い」に大きな差があるということです。

例えば、「障がい福祉サービス事業をやってみたら?」と、知人から勧められたことをきっかけに、
福祉業界未経験でありながら、思いのほかあっさりと開業までたどり着く方もいれば、
逆に、スタッフの確保ができず、開業を何度も延期した末に、最終的に断念せざるを得ない方もいます。

——この違いは、いったいどこから生まれるのでしょうか。

私たちばんぜん総合サポートが、指定申請をサポートさせていただいたお客様にも、まさにそんな事例がありました。

今年の初夏、無事に指定が下りたお客様は、実は「スタッフ確保」という壁に長期間苦しんでいたのです。

しかもこのお客様は、決して小さな会社ではありませんでした。地元でも名の知れた法人が母体となって新規参入されたケースだったので、周囲からは「スムーズに行くだろう」と見られていたのですが、現実は違いました。

カレンダーを手繰りながら振り返ってみると、
社長、職員候補者、母体法人の理事長、税理士さん、司法書士さん……
多くの関係者が集まって行った開業準備ミーティングから、
実際に指定が下りるまで、なんと1年半の月日を要しました。

その間、
「職員となる予定だった人が辞退する」
「新たに採用した人が直前で辞める」
そんな苦い出来事が、何度も繰り返されました。

指定申請時の提出書類の一つである勤務形態一覧表も、5〜6回にわたって書き直しを余儀なくされ、そのたびに行政とのやり取りも生じ、開業準備は一進一退となりました。

この経験を通して、改めて痛感したことがあります。

それは、
「雇用の難しさは、事業規模やブランド力に関係ない」
ということです。

特に、
・サービス管理責任者
・サービス提供責任者
といった、事業運営の核となる職種の確保は、どの法人様にとっても大きな課題になっています。

資格要件・経験要件が厳格であることに加え、福祉業界全体で慢性的な人材不足が続いているため、優秀な人材の採用・定着はますます難易度が上がっているのが現実です。

もちろん、ばんぜん総合サポートとしても、できる限りのサポートを行っています。

しかし、最後の「ご縁」や「タイミング」まで完全にサポートしきることは、正直なところ、難しい部分もあります。

「それでも、支援の輪が広がり、人と人とがつながることで、良い人材が、良い事業所様と巡り合い、素晴らしい福祉の現場がたくさん生まれていくことを願っています。

障がい福祉サービス事業の開業は、単なる「ビジネス」ではありません。そこには、「人」がいて、「生活」があり、「未来」がつながっています。

開業を目指す皆様が、この道のりの厳しさと同時に、そこにある喜びと誇りを感じながら、一歩一歩前進されることを、心から願っています。

私たちばんぜん総合サポートも、その道のりを一緒に歩む伴走者でありたいと考えています。
どんな小さなことでも、ぜひお気軽にご相談ください。



【この記事を書いた人】

竹中永健

竹中永健
株式会社ばんぜん 代表取締役
行政書士
ラジオパーソナリティー

「障がい者の方やそのご家族が安心して暮らせる社会」を目指して、ハートがある専門家と連携し「障害福祉事業の総合サポート」をしています。その傍ら、ラジオ放送局「ゆめのため」のラジオパーソナリティーとしてゲストさんの夢を応援する活動も実施中。
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